膝の【部位別】痛みの原因と受診の目安
膝の痛みは【どの部分が】【どんな動きをした時に】【どんな痛みが起こるか】によってその原因を炙り出すことができます。
自然回復するものもあれば、手術が必要なものもあります。この記事では、部位別の痛みの症状と考えられる原因、診断基準を解説します。
膝の痛みの部位別の原因
1. 膝の「内側」が痛い
変形性膝関節症
加齢や過度の運動などによって、長期間をかけて膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れが生じます。変形が進行すると「O脚」と呼ばれる特徴的な脚の形になり、膝の動かしにくさや強い痛みで生活に大きな支障が出る人もいます。
❓❓どんな症状が出る❓❓
- 痛み:
- 初期には、立ち上がりや歩き始めなどの動作時に痛みを感じることが多く、安静にすると和らぎます。
- 進行すると、日常生活のあらゆる動作で痛みを感じ、夜間痛や安静時痛も出現することがあります。
- 腫れ: 関節内に水が溜まり、膝が腫れることがあります。
- 変形: 膝がO脚やX脚に曲がったり、関節が肥大したりすることがあります。
- こわばり: 朝起きた時や長時間の安静後に、膝がこわばり、動き出しにくいことがあります。
- 関節音: 膝を動かした際に、関節から音が鳴ることがあります。
- 歩行困難: 病気が進行すると、歩行が困難になり、日常生活に支障が出ることもあります。
症状の進行度合いは個人差が大きく、初期の段階では痛みをほとんど感じない人もいれば、早い段階で日常生活に支障が出る人もいます。
❓❓❓診断の基準は❓❓❓
■レントゲン
- 関節の隙間が狭くなっている
- 骨棘が形成されている
- 関節の変形が認められる
- 問診や身体診察で、変形性膝関節症の特徴的な症状が認められる
■CT
- 骨の変形や、軟骨下の骨の壊死を認める
■MRI
- 軟骨の損傷や、関節内の炎症を認める
これらの要素を総合的に判断し、他の疾患との鑑別診断を行った上で、変形性膝関節症と診断されます。
鵞足炎(がそくえん)
膝の内側の少し上の部分に痛みを感じます。ランニングやジャンプなどの反復運動で悪化することが多いです。ランナーに多く、過度な運動や足の形の特徴(O脚や扁平足)によってなりやすい傾向があります。
❓❓❓診断の基準は❓❓❓
■問診・触診
- 鵞足部に特徴的な痛みや腫れなどの症状を認める
- 触診で鵞足部の触診で圧痛、腫脹、熱感などを認める
■画像診断
- MRIで鵞足部の軟部組織の炎症や腫脹が認められる
- レントゲンで骨の異常を認めない
- 類似症状を呈する他疾患との鑑別ができる(変形性関節症、脛骨内顆疲労骨折、内側半月板損傷など)
内側半月板損傷
膝に強い力が加わると、半月板が損傷し、痛みや腫れ、関節の動きが悪くなることがあります。
2. 膝の「外側」が痛い
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
ランナー膝とも呼ばれ、ランニングやジャンプなどの反復運動で膝の外側に痛みを感じます。
外側側副靭(LCL)帯損傷:
膝の外側に強い力が加わると、靭帯が損傷し、痛みや腫れが生じます。
❓❓どんな症状が出る❓❓
- 膝の外側の痛み: 損傷直後は激しい痛みを感じ、その後も運動時や歩行時に痛みが続きます。
- 腫れ: 膝の外側が腫れ、熱感を持つことがあります。
- 不安定感: 膝が外側にぐらつく感じがあり、歩行が困難になることがあります。
- 可動域制限: 痛みや腫れのために膝の曲げ伸ばしが制限されることがあります。
- 膝崩れ: 膝が急に外側に折れ曲がる感覚があり、不安定感を伴います。
- 神経症状:下腿外側の知覚異常や腓骨神経麻痺が出る場合もあります。
❓❓❓診断の基準は❓❓❓
■問診・視診・触診: 膝の外側の腫れ、圧痛、皮下出血などを確認
- ストレス検査:
- 外反ストレス検査: 膝を軽く曲げた状態で、下腿を外側に押してLCLの緩みを認める
- 反張ストレス検査: 膝を過伸展させてLCLの損傷程度を評価
■ 画像検査
- レントゲン
- 単純X線: 骨折の有無や、LCL損傷に伴う腓骨頭剥離骨折の有無を認める
- ストレス撮影: 外反ストレスを加えた状態で撮影し、LCLの緩みを評価
- MRI
- LCLの断裂を認める
- LCL以外の靭帯(前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靱帯)、半月板、軟骨などの損傷の有無も評価
外側半月板損傷
内側半月板損傷と同様に、膝に強い力が加わると、半月板が損傷し、痛みや腫れ、関節の動きが悪くなることがあります。
❓❓どんな症状が出る❓❓
- 膝の痛み: 損傷部位や程度によって異なりますが、膝の内側や外側に痛みを感じます。特に、階段の上り下りやしゃがみ込み動作で痛みが強くなることがあります。
- クリック音: 膝を曲げ伸ばしする際に、関節内でクリック音やポキッという音がすることがあります。
- 引っかかり感: 膝の動きがスムーズでなく、引っかかるような感覚があることがあります。
- ロッキング: 半月板の一部が関節内に挟まり、膝が動かなくなる状態になることがあります。
- 腫れ: 関節内に炎症が起こり、膝が腫れることがあります。
- 可動域制限: 痛みや腫れのために膝の曲げ伸ばしが制限されることがあります。
❓❓❓診断の基準は❓❓❓
■問診・視診・触診
- マックマレーテスト: 膝を最大屈曲位から伸展させながら、下腿を内旋・外旋させて痛みやクリック音の有無を確認します。外側半月板損傷では、外旋時に痛みやクリック音が誘発されることが多いです。
- アプライ圧迫テスト: 膝を90度屈曲位で、下腿に外旋ストレスを加えながら圧迫し、痛みが増強するかを確認します。
- テーピングテスト: 外側半月板にテーピングを施し、症状が軽減するかを確認します。
■ 画像検査
- MRI:外側半月板の損傷を認める
3. 膝の「お皿の上」が痛い
大腿四頭筋付着部炎
膝のお皿の上の筋肉の付着部が炎症を起こし、痛みを感じます。
4. 膝の「裏側」が痛い
ベイカー嚢腫
膝の裏側に水が溜まり、腫れや痛みを感じます。
- MRI
- ベイカー嚢腫を画像で認める。大きさ、位置、形状、内部構造、嚢腫と膝関節との交通の有無などを正確に把握できる。
- 超音波検査:
- 嚢腫の大きさ、位置、内部構造、嚢腫の性状を動的に確認できる
膝の痛みを引き起こすその他の原因
- 軟骨の損傷: 変形性膝関節症だけでなく、スポーツ外傷などでも軟骨が損傷することがあります。
- 靭帯の損傷: 膝の安定性を保つ靭帯が損傷すると、痛みや関節の不安定性を感じます。
- 滑液包の炎症: 関節をスムーズに動かすための滑液包が炎症を起こすと、痛みや腫れが生じます。
- 骨の病気: 骨の腫瘍や感染症などが原因で、膝に痛みを感じることがあります。
膝の痛みを感じたら
整形外科を受診し、医師に詳しく診てもらうことが大切です。医師は、問診や身体診察、レントゲン検査、MRI検査などを行い、診断を確定します。
膝の痛みの治療
医師はまず、痛みの原因や外傷の重症度により手術の有無を判断します。
手術の場合は疾患ごとに適切な手術方式を選択され、内容により入院期間や術後の生活様式は異なります。
手術が不要の場合は、軽症であれば鎮痛剤のみで終わ理、リハビリが必要な場合は理学療法士による運動指導があります。併行し温熱療法や電気などの物理療法が行われることもあります。
痛みの原因により治療方法が大きく異なりますので、医師の指示にしたがってください。
予防
- ウォーミングアップ: 運動前には必ずウォーミングアップを行い、筋肉を温めてから運動を始めましょう。
- ストレッチ: 運動後にはストレッチを行い、筋肉の柔軟性を高めましょう。
- 体重管理: 肥満は膝への負担を増やすため、適正体重を維持しましょう。
- 適切な運動: 自分の体力に合った運動を行い、無理のない範囲で運動を続けましょう。
病院を受診すべきタイミング
まずは安静で様子を見ます。そのまま翌日に痛みが軽減し、数日かけて症状がなくなるようであれば、様子を見ていつも通りの動きを再開してよいでしょう。
もし以下のような症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。
- 痛みが強い、または長引く
- 膝が腫れている、または熱を持っている
- 膝が曲がらない、または伸びない
- 歩行が困難、あるいは特定の動きで強い痛みが起こる
- ケガをした覚えがある
まとめ
膝の痛みは、放置すると悪化することもあります。自分でできる対処法を試しても改善しない場合は、早めに病院を受診しましょう。早期発見・早期治療が、膝の健康を守る鍵となります。
注意: この情報は一般的な情報であり、個々の症状については医師に相談してください。
ご自身に当てはまる症状があれば、早めに医師にご相談ください。
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